リウマチ Tea room > 関節リウマチについて知りたい方へ 治療法 薬物療法
監修
痛みや腫れをやわらげ、関節がこわれていくのを防ぐために薬物療法を行います。 薬物療法は、できるだけ早い時期に開始し、関節の痛みや腫れなどの症状がおさえられた、寛解とよばれる状態を目指すことが理想です。また、痛みや腫れなどの症状が強い方で、全身の関節に症状がみられる方であっても、できる限り症状が軽く、落ち着いた状態にしていくことが必要です。
痛みや発熱、炎症を改善する効果がある薬です。すみやかに痛みをとる効果が期待できます。また、炎症を軽くする効果はありますが、炎症の進行や関節がこわれていくのを防ぐ効果はありません。
炎症をすみやかにおさえますが、関節リウマチそのものを治すことはできません。他の薬の効果が得られないときや効果があらわれるまでの間、妊娠や副作用の理由で他の薬を使えないときなどに使われます。
炎症自体をおさえるのではなく、免疫の異常を調節して病気のいきおいをおさえます。異常な免疫機能に作用する「免疫調節薬」と、すべての免疫機能をおさえる「免疫抑制薬」の2種類があります。関節リウマチ治療の基本的な薬です。
リウマチの原因になる細胞や遺伝子をおさえる目的で開発され、生きた細胞が作るタンパク質の薬を生物学的製剤とよび、特定の細胞の表面上や血中で作用します。炎症のもととなるTNF-αやIL-6といった特定のサイトカインの働きをおさえる「サイトカイン阻害薬」と、T細胞の働きをおさえる「T細胞阻害薬」の2種類があります。
免疫に関わる細胞の中に入りこみ、標的とした分子の働きをおさえることで炎症反応をおさえます。
関節リウマチでは、関節の痛みや腫れなどの症状や、血液検査などで治療の効果を確認します。一定の期間がたっても十分な効果がなければ、治療法の変更を検討します。なお、治療の効果を評価するために、DAS28、SDAI、CDAIとよばれる方法などが用いられています。
DAS28は、病気のいきおい(疾患活動性)を数値であらわすものです。DASとは、「疾患活動性スコア」の英語(Disease Activity Score)の頭文字を取ったものです。28か所の関節について症状を調べることから、このような名がついています。来院されたときに、次の項目を調べます。
圧痛関節数
押さえたときに痛みがある関節の数を医師が数えます。
腫脹関節数
腫れている関節の数を医師が数えます。
患者さんご自身による全般評価
体調を「症状なし」から「体調が非常に悪い」までのスケール上
で確認します。
赤沈またはCRP
血液検査で炎症の程度を調べます。
こうした項目をもとに、医師がDAS28の数値を計算します。
DAS28の数値が低いほど症状が落ち着いていることを示します。
CDAI(Clinical Disease Activity Index)、SDAI(SimplifiedDisease Activity Index)もDAS28と同様、病気のいきおいをあらわす指標です。CDAIは圧痛関節数、 腫脹関節数、 患者さんによる全般的評価、 医師による全般評価より計算します。SDAIはCDAIにCRPを加えて計算します。
数値の計算方法はそれぞれ異なりますが、得られた数値が高いほど、症状が強いことを示します。
参考文献
1) 松田剛正他: 関節リウマチのトータルマネジメント.(公財)日本リウマチ財団 監, p20-96, p102-126, 医歯薬出版, 2011
2) 公益財団法人日本リウマチ財団 編: 患者さんのための関節リウマチ治療ガイドライン. p15-46, 医歯薬出版, 2006
3) 公益財団法人日本リウマチ財団教育研修委員会、一般社団法人日本リウマチ学会生涯教育委員会 編: リウマチ病学テキスト 改訂第2版. p13-26, p88-126, p522-526, 診断と治療社, 2016